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キリストは、
人間は羊であると、言いましたが、
人間の姿や形を、
わたしたちは、他人に伝えることが、
できませんので、
宇宙の果ての星に似て、
人間の姿や形は、未知であり、
確定していません。
わたしたちは、自分の姿や形も、知らない。
だから、デカルトのように、
われ思うゆえに、われ在りと、
哲学者が、真剣に悩みました。
夢を見ているのと、
ちっとも、区別がつきません。
夢の内容を、
他人に伝えることが、できますか。
嘘でなく、本当に、そのような夢を見たと、
他人が検証できますか。
夢の内容でなく、
現実の内容についても、まったく同じです。
個人の知覚の内容を、嘘でないと、
他人は検証できませんので、
知覚の内容は、完全にブラックボックスです。
でも、わたしたちは、
個人の知覚の内容を、他人と突き合わせて、
生活しています。
言葉や絵を使い、
知覚の内容を、他人に伝えます。
言葉や絵は、嘘かも知れませんが、
現実を、写真やビデオに撮れば、
間違いなく、知覚の内容を、
他人に伝えられるだろう。
そうして、
写真が実用化された19世紀に、
ロマン主義と言われる流行文化が、
盛んになり、
20世紀の中頃まで、続きましたが、
2度の世界大戦と共産主義革命や、
ムソリーニやヒトラーのファシズムや、
ホロコーストやソ連の崩壊などにより、
否定されて、
現代と言われるコンピュータの時代に
なりました。
コンピュータを作った考え方は、
ロマン主義の間違いを、
指摘するために、発達しました。
記号論理学と言います。
イギリスの経験論を、
数学のような記号式により、
表示しましたので、
数学者や物理化学者が、
中心になりました。
ロマン主義のほうは、
革命と進化論に代表されるように、
法律家や歴史家や生物学者や医者が、
中心でした。
コンピュータは、
1946年に、実用化が始まりましたが、
ソ連が解体した原因は、
ノーメンクラトゥーラ(nomenklatura)
と言われる官僚主義と、
コンピュータの実用化の遅れであると、
言われました。
コンピュータの開発の動機が、
ロマン主義の拒否であったことは、
重要です。
具体的には、
ヒトラーのファシズムや、
ソ連の共産主義に対抗するために、
考え出されました。
ロマン主義の、
何が、間違っていたのかを、
はっきりと知ることと、
現在に至る日本の近代思想が、
幕末の志士たちの、
フランス革命への憧れに始まり、
大日本帝国憲法を経て、
現代の日本国憲法に至るまで、
明確に、
ロマン主義を標榜していることも、
また、重要です。
写真は、
知覚の問題を、解決していなかった。
コンピュータは、
イギリスの経験論から、
ロマン主義に対抗するために、
考え出された。
ロマン主義は、
ファシズムやホロコーストや
共産主義などとともに、滅んだ。
日本国憲法は、
いまだに、ロマン主義を信じている。
そして、
精神医学は、進化論の産物であり、
精神医療は、ロマン主義文学を、
いまだに、強権の根拠としている。
長崎を訪れたついでに、
幕末のロマン主義を知るための、
シーボルトの資料を、探してみました。
彼は、鎖国にもかかわらず、
繁栄している日本の秘密を、
農産物の生産にあると、見て、
立身出世のために、
有用な情報を、集めていました。
長崎のような山と海の町では、
日本の干拓と下肥のシステムを、
理解できなかったのかも知れません。
ドイツやオランダで、
干拓と水運を、見ていたはずですが、
あっちは寒いので、
下肥を理解できなかったのでしょう。
世界に類のない画期的なシステムが、
日本の農業生産力の秘密であることに、
少しも気づきませんでした。
人体の廃棄物が、
植物の肥料になるだけのことですが、
シーボルトは、あほかも知れません。
理解できませんでした。
娘に、イネという名前を、付けたのに。
低湿地の干拓と水運が、下肥と、
セットになっていましたが、
彼は、熱帯原産の水稲の、
温帯や暖帯での生産技術について、
無知でした。
やはり、出島のような田舎町では、
東京や大阪の、農業生産の事情と、
東北地方の飢饉の原因を、
理解できなかったようです。
当時の貴族制のドイツは、
江戸時代の日本と、
五十歩百歩の、旧弊な社会でした。
フランス革命の精神が、
まだ、シーボルトまで浸透していません。
彼の写真は、晩年の1枚しか、
残っていませんでした。
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