【Viene la sera】 夕暮れに
蝶々夫人 Madama Butterfly 第一幕の
ピンカートンと蝶々夫人の、二重唱
ソプラノ : マリア・カラス Maria Callas
テノール : ニコライ・ゲッダ Nicolai Gedda
※ 14分もありますが、奇麗な曲です。
*** ***
♂ ピンカートン Pinkerton
Viene la sera
夜になった
♀ 蝶々夫人 Butterfly
...e l'ombra e la quiete.
...そして暗闇と静けさが
♂ ピン
E sei qui sola.
そして君はここにたったひとり
♀ 蝶
Sola e rinnegata! Rinnegata!
たったひとりで見捨てられて!見捨てられて!
e felice!
それでも幸せです!
♂ ピン
A voi, chiudete!
お前たち 閉めてくれ!
♀ 蝶
Sì, sì, noi tutti soli...
そう そうなの、私たちふたりだけ
E fuori il mondo...
世間なんて関係ない
♂ ピン
E il Bonzo furibondo.
怒り狂ったボンゾもね
♀ 蝶
Suzuki, le mie vesti.
スズキ 私の着物を
♀ 鈴木(女中)
Buona notte.
おやすみなさいませ
♀ 蝶 (下のピンカートンの台詞と、重なる)
Quest'obi pomposa di sioglier mi tarda
この華やかな帯は 解くのに時間がかかります
si vesta la sposa di puro candor.
花嫁が着るのは清らかな白い衣装
Tra motti sommessi sorride e mi guarda.
あの人は何かつぶやきながら ほほ笑んで私を見つめてる
Celarmi pottessi! ne ho tanto rossor!
隠れてしまいたいわ!とっても恥ずかしい!
E ancor l'irata voce mi maledice...
あの怒りの声が まだ私を呪っている…
♂ ピン (上の蝶々夫人の独白と同時に、歌う)
guardando amorosamente Butterfly
リスのような動きであの子は結び目を解いていっている!...
Con moti di scoiattolo i nodi allenta e scioglie!...
この小さな玩具のような娘が私の妻なのだ!私の妻!
sorridendo
だけど、この目に見えた優美さが
Ma tal grazia dispiega,
僕から解き放つんだ
ch'io mi strugge per la febbre d'un subito desìo.
欲望の突然の熱情を
♀ 蝶
Butterfly, rinnegata...
バタフライは 見捨てられて…
Rinnegata... e felice.
見捨てられて...それでも幸せです
【二重唱のアリア】
♂ ピン (着替えと化粧を、終えて、
縁側から、庭に下りる蝶々夫人に、
手を貸しながら)
Bimba dagli occhi pieni di malìa
魅惑のまなざしに満ちた少女よ
ora sei tutta mia.
今、君はすっかり僕のものだ
Sei tutta vestita di giglio.
君は白百合のような着物を着ている
Mi piace la treccia tua bruna
僕は君の編んだ黒髪が好きだ
fra i candidi veli.
白いベールの間の
♀ 蝶
Somiglio la Dea della luna,
月の女神のように見えますか
la piccola Dea della luna
月の小さな女神は
che scende la notte dal ponte del ciel.
夜に天の橋から降りてきて
♂ ピン
E affascina i cuori...
人々の心を魅了するのだ...
♀ 蝶
E li prende e li avvolge
そう 心をつかまえて、包んでしまうのです
in un bianco mantel
白い着物の中に
E via se li reca
そして連れていってしまうのです
negli alti reami,
天空の別世界へと
♂ ピン
Ma intanto finor non m'hai detto,
まだ君は僕に言ってくれてないね
ancor non m'hai detto che m'ami.
言ってくれてないね 愛していると
Le sa quella Dea le parole
女神は知っているだろうか
che appagan gli ardenti desir?
その言葉が熱い思いを静めるのを?
♀ 蝶
Le sa.
知っていますわ
Forse dirle non vuole per tema d'averne a morir,
でもたぶん心配してそれを言いたくないだけ
per tema d'averne a morir!
死んでしまうのではないかと心配して!
♂ ピン
Stolta paura, l'amor non uccide
愚かな心配だ、愛は殺さない
ma dà vita e sorride per gioie celestiali
命を与え、天の喜びにほほ笑むのだ
come ora fa
ちょうど今
nei tuoi lunghi occhi ovali…
君の切れ長の瞳がほほ笑んでいるように ...
♀ 蝶
Adesso voi
今、あなたは
siete per me
あなたは私にとっては
l'occhio del firmamento.
天空の中心なのです
E mi piaceste dal primo momento
そして、私はあなたが好きでした 初めて
che vi ho veduto.
お会いしたときから
Siete alto, forte.
あなたは背が高くて強いお方
Rideste con modi si palesi
とても朗らかにお笑いになる
e dite corse che mai non intesi.
そして私が今まで聞いたことのないことを話される
Or son contenta,
今、私は幸せ、
or son contenta.
今私は幸せです
Vogliatemi bene,
私にください
un ben piccolino,
小さな幸せを
un bene da bambino,
赤ちゃんのような幸せを
quale a me si conviene.
私にはそれがふさわしいのです
Vogliatemi bene.
私にください
Noi siamo gente avvezza
私どもは慣れていますの
alle piccole cose
ささやかなことに
umili e silenziose,
つつましく静かな幸せに
ad una tenerezza
そして優しさに
sfiorante e pur profonda
控え目でいながら それでも深い
come il ciel, come l'onda del mare!
空や海の波のような優しさに!
♂ ピン
Dammi ch'io baci le tue mani care.
君の可愛い手にくちづけさせておくれ
Mia Butterfly!
僕のバタフライ!
come t'han ben nomata tenue farfalla...
なんて君に似合った名前だ か弱い蝶々...
♀ 蝶
Dicon che oltre mare
海の向こうの国では
se cade in man dell'uom,
人の手に捕らえられると
ogni farfalla da uno spillo è trafitta
蝶々は針で刺されて
ed in travola infitta!
板の上に留められるのだそうですね!
♂ ピン
Un po' di vero c'è.
少しは本当だけど
E tu lo sai perché?
君はなぜだか分かるかい?
Perché non fugga più.
もう二度と逃がさないためなのさ
Io t'ho ghermita
僕は君を捕まえたんだ
Ti serro palpitante.
震える君を抱きしめ
Sei mia.
君は僕のものさ!
♀ 蝶
Sì, per la vita.
ええ 生きている限り
♂ ピン
Vieni, vieni!
おいで、おいで!
Via dall'anima in pena
痛む魂からうち捨てよう
l'angoscia paurosa.
恐ろしい苦悩なんか
È notte serena!
とても澄み切った夜だ!
Guarda: dorme ogni cosa!
ご覧、すべてが眠っている!
♀ 蝶
Ah! Dolce notte!
ああ!ステキな夜!
♂ ピン
Vieni, vieni!
おいで、おいで!
♀ 蝶
Quante stelle!
何てたくさんの星たち!
Non le vidi mai sì belle!
こんな美しい景色は見たことがないわ!
♂ ピン
È notte serena!
とても澄み切った夜だ!
Ah! vieni, vieni!
ああ!おいで、おいで!
È notte serena!
とても澄み切った夜だ!
Guarda: dorme ogni cosa!
ご覧、すべてが眠っている!
♀ 蝶
Dolce notte! Quante stelle!
ステキな夜!何てたくさんの星たち!
♂ ピン
Vieni, vieni!
おいで、おいで!
♀ 蝶
Non le vidi mai sì belle!
こんな美しい景色は見たことがないわ!
♂ ピン
Vieni, vieni!
おいで、おいで!
♀ 蝶
Trema, brilla ogni favilla ...
震え、火花のように輝いている …
♂ ピン
Vien, sei mia!..
おいで、君は僕のものさ! …
♀ 蝶 (下のピンカートンのパートと、重なる)
... col baglior d'una pupilla! Oh!
..瞳のきらめきとなって!おお!
Oh! quanti occhi fissi, attenti
ああ!何てたくさんの瞳が つつましく
d'ogni parte a riguardar!
あちこちから見つめているのかしら!
pei firmamenti, via pei lidi, via pel mare!
大空からも 陸からも 海からも!
♂ ピン (上の蝶々夫人のパートと、同時進行)
Via l'angoscia dal tuo cor
君の心から不安を打ち捨てよう
ti serro palpitante. Sei mia.
震える君を抱きしめるんだ。君は僕のものさ
Ah, vien, vien, sei mia!
ああ、おいで、おいで、君は僕のもの!
Ah! Vieni, guarda: dorme ogni cosa!
ああ! おいで、ご覧、すべてが眠っている!
Ti serro palpitante. Ah, vien!
震える君を抱きしめるんだ。ああ、おいで!
♀ 蝶 (下のピンカートンのパートと、重なる)
Oh! quanti occhi fissi attenti.
ああ!なんてたくさんのまなざしが
Quanti sguardi ride il ciel!
たくさんのまなざし 空が笑っているわ!
Ah! Dolce notte!
ああ!ステキな夜!
Tutto estatico d'amor ride il ciel!
みんな愛に酔いしれて 空が笑っているわ!
♂ ピン (上の蝶々夫人のパートと、同時進行)
Guarda: dorme ogni cosa.
ご覧、すべてが眠っている。
Ah! vien! Ah! vieni, vieni!
ああ!おいで!ああ!おいで、おいで!
Ah! vien, Ah! vien! sei mia!
ああ!おいで!ああ!おいで!君は僕のものだ!
カラヤン Herbert von Karajan 指揮の、
ミラノスカラ座管弦楽団の、1955年の、
蝶々夫人の定番のような、演奏です。
プッチーニ Giacomo Puccini の、
きれいなきれいな曲ですから、
麻薬みたいなものです。
中学生の頃のわたしは、麻薬漬けでした。
オペラ歌手になりたいと、思ったのも、
このせいです。
後に、アメリカ合衆国で、
ボイストレーニングを受けましたが、
すぐに諦めました。
頭蓋骨が違えば、声が違うのは、
当たり前ですが、
わたしのほうが、良い声が出ると、思っていました。
声の評価は、頭蓋骨の問題ですから、
エステティックやスポーツなどと同じで、
人種差別そのものなのに…
ニコライ・ゲッダや、マリア・カラスは、
わたしが説明するまでもないので、省略します。
日本語訳は、
オペラ対訳プロジェクト、というサイトから、
パクッて来ました。
怒られるかも、知れません。
一行ごとに、左右に、配置された対訳を、
一行ごとに、上下に、配置替えしました。
段組のあるページを、
はてなのブログの、出来合いのフォームに、
コピペするのが、面倒なので。
このオペラの原作の小説は、
日露戦争の頃の、没落士族の娘の、
15才の芸者を描いていますが、
現代日本を見る欧米の目と、
ほとんど変わりません。
性転換のような結婚ですが、
ダグラス・マッカーサーの、
12才の日本よりは、ましかも知れません。
科学技術を作るように、
事実を作る手順や仕組みが、
どうしても、ほとんどの日本人には、
わかりません。
インドヨーロッパ文化では、
わからない人が、間引かれて、
品種改良されましたから、
ほんどの日本人は、
これから間引かれます。
マダム・バタフライと、
日本の性転換者は、似たような人かも
知れません。
ピンカートンは、
日本の芸者と、結婚ごっこをして、
遊びましたが、
なんと、蝶々夫人は本気でしたので、
騙(だま)されたと知り、自害しました。
芸者でなくても、お妾(めかけ)さんって、
高度経済成長の頃まで、
日本では、普通でしたのに。
どうして、
欧米の人は、性転換をするのかしら。
同性愛を擁護していた宗教が、
廃れたからですが…
インドヨーロッパの宗教って、
論理や事実や科学技術を、
作ったやつです。
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