先週と今週の、櫟(くぬぎ)。
春に、雌花(めばな)が受粉して、
どんぐりと言われる果実が、大きく熟すのは、翌年の秋です。
櫟(くぬぎ)は、
雌雄同株(しゆうどうしゅ)ですが、雌雄異花です。
雌花(めばな)は、
どんぐりのように、葉の根元(ねもと)の枝に、
疎(まば)らに付き、
雄花(おばな)は、尾状(びじょう)に、垂れ下がります。
去年の枯葉だけでなく、
雌花の名残(なごり)の、まだ大きくならない子房が、
枝に付いています。
枯れた雌しべが残っていますから、わかります。
この雌しべは、今年の夏や秋にも、
緑色の小さなどんぐりや、茶色の大きなどんぐりの、先っちょに、
残っています。
現在は、一斉に、
夥(おびただ)しい雄花(おばな)の花序が、垂れ下がり、
新葉(しんよう)が開き、光に輝いています。
ようやく、去年の雌花の子房が、小さな緑色に、色づき始めます。
染井吉野の開花や、若葉の展開と、ほぼ同じ季節ですが、
都会の人は、先週の枯葉や、去年の雌花の子房を、知りません。
それどころか、櫟(くぬぎ)を知らないかも。
わたしの若いころは、
竈(かまど)に、薪(まき)をくべて、御飯を炊き、
冬は、炭をいこして、
家庭の団欒(だんらん)は、みんなで、火鉢を囲みました。
第二次世界大戦後の、都会の真ん中でも、そうでした。
櫟(くぬぎ)を見れば、薪(まき)や炭を、思い出します。
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