これは、イワナです。
子供の頃、魚釣りに行くと、
ハヤと言われるオイカワや、イワナの類や、
ヤマメと言われるサクラマスなどが、釣れました。
朝、4時頃に、叔父さんと一緒に、川に行き、
川岸の雌竹を切り、釣り糸と針を結びます。
浮きや重りは、ありません。
瀬の石ころをひっくり返して、トビケラの幼虫を捕まえます。
毛翅目(トビケラ目)の蛾ですけれど、
幼虫は、イサゴとも言われて、長さ3センチ、太さ5ミリぐらいで、
水の中に棲んでいるの。
写真で数えると、頭や胸も含めて、体節数が13個かしら。
足と尻尾の先に、鈎(かぎ)があります。
口から糸を出して、渓流の石ころの裏側に、
小さな砂粒を、鞘みたいに固めて、巣の中で暮らしています。
トビケラを100匹ぐらい取って、空き缶に入れます。
胸から、おなかに、釣り針を刺して、
川の中の、大きな岩の向こう側に、ポトンと落とします。
人間が顔を出すと、逃げてしまうので、
姿を隠して、お魚の居そうな所に、知らん顔をして、落とすの。
すると、5秒ぐらいで、ハヤが掛かります。
釣り上げると、その辺の、雌竹や笹の先を、1mぐらいに切り、
お魚の鰓(えら)から口を、突き刺して、持ち歩きます。
一ヶ所で、4、5匹、釣り上げると、もう、釣れなくなりますから、
10mぐらい、上流に移動します。
一時間で、百匹ぐらい釣れます。
ほとんど、15~20センチぐらいの、オイカワですけれど、
なかには、20~30センチぐらいの、イワナやヤマメも掛かります。
オイカワ(ハヤ)は、コイ科ですけれど、
イワナやヤマメは、サケ科ですので、おいしいの。
オイカワは、夏に繁殖しますので、
雄のお腹や鰭(ひれ)が、オレンジ色を帯びて、奇麗な婚姻色になります。
イワナは、サケと同じように、
川で繁殖して、海で育ちますけれど、
水の冷たい海でなければ、生きられません。
氷河期に、海に降りていたイワナも、
北陸地方や関東地方よりも南西では、
川に留まったまま、一生を終えるようになりました。
それぞれの川で、孤立したグループが生き残っていますので、
川によって、特徴が少しずつ違いますけれど、
最近は、絶滅しそうな感じかしら。
わたしの記憶では、瀬のほうが、
夏のマス(イワナやヤマメ)は、よく釣れたと思います。
100匹ぐらい、釣ると、腹わたを取って、塩をして、
その場で、何匹か、塩焼きにして食べます。
残りは、ビニール袋に入れて、持ち帰り、
朝御飯の、お土産にするの。
お日様が出てくると、もう、釣れません。
こんなのって、年長の人に教わって、
わたしも、子供に教えました。
子供は、孫に教えています。
要領のいい手順があるから、
知らないと、自分で工夫できるまで、何時間も何日もかかります。
辛抱して、粘り強く、生活の知恵を、開発できるかしら。
自転車のパンク修理でも、本を読めば、簡単にわかりますけれど、
本もなく、誰にも教えらずに、一人で工夫するって、
たぶん、物凄い時間が、掛かかります。
なんの成果もないのに、懲りずに、黙々と細工する人って、
滅多にいないと、思いません?
GIDの子って、人に教わるのを、拒否しているのかしら。
中学生になると、自分は本を読んで、好きな事を知るから、
イヤな大人の言うことなんか、頭を下げて聞く必要はないって、
たかを括っているみたい。
頭を下げるぐらい、お安い御用だから、
人の流儀を聞いたほうが、得なのに。
大切なことは、不特定多数の人に、なかなか、教えてくれません。
師匠から弟子に、直伝ね。
知識だけでなく、いわゆる人脈も、お金も、伝承されます。
親から子へって、いちばん大切な、文化の継承ですけれど、
それを拒否して、自分だけで、せっかく獲得しても、
子供がいなければ、伝える人もいません。
むなしさが一杯ってことにならないように、
海に出て、大きく育ってください。
イワナやヤマメなどは、陸封型よりも、降海型のほうが、
2~5倍くらい、大きな体に育ちます。
人間で言えば、広い心かしら。
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