ラベンダー lavender は、
ラテン語の、lavare(洗う)から、来ているそうです。
お風呂に入る時の、香料として、使われました。
地中海沿岸の乾燥地帯の植物ですので、
日本では、北海道に、よく育つのかも、知れません。
ラベンダーの花を見れば、
女性の多くが、そのように想像します。
東京や大阪の、近所の花壇にも、いっぱい咲いていますが…
わたしは、ラベンダーと聞けば、
ナチスドイツが、男性同性愛者に、
ラベンダー色の、逆三角形の印(しるし)を付けたのを、
思い出します。
ドイツ人って、日本のNHKや電力会社やガス会社みたいに、
戸別に、玄関のドアに、住人の種別を分類するための、
刺青(いれずみ)のようなマークを、表示させました。
法律や行政命令などに、規定されていましたから、
住民が、勝手に消してしまうと、逮捕されます。
行政が、家畜のような烙印(らくいん)を、
すべての市民に、義務付けました。
ユダヤ人なら、ダビデの星とかね。
収容所では、人間の体に、
抹殺される種類である、という印を、彫りつけました。
女性同性愛者は、黒の逆三角形です。
夜と霧という題名の、総統の命令により、
反社会的な人たちが、収容所に送られました。
ユダヤ人や、共産主義者や、精神障害者も、そうでしたけれど、
男性同性愛者は、どういうわけか、ラベンダーの色でした。
ワーグナーの楽劇の、ニーベルンゲンの指輪の中の、
ラインの黄金に、アルベリヒという錬金術師のような、
妖精のような男性が出て来ます。
矮小人種のニーベルング族の王でしたけれど、
エルフの王とも、言われています。
ライン川に暮らす妖精たちは、
世界を支配できるラインの黄金を守っていましたが、
愛と生殖を、諦めた者だけが、
黄金を、手に入れることができました。
アルベリヒは、黄金を盗み出して、山奥の地底に潜(もぐ)り、
権力の印の、金の指輪を鍛造(たんぞう)しました。
それを、ヴォータンという神様に騙(だま)し取られたので、
指輪を持てば、災いが齎(もたら)されるように、
呪(のろ)いを掛けたと、言われています。
アルベリヒは、
姿を隠したり、変身したりすることのできる頭巾(ずきん)を、
持っていました。
姿を隠す時の、まじないの言葉が、
夜になれ、霧になれ、誰の目にも見えぬように、でした。
ヒトラーは、反対勢力を抹消するための命令に、
夜と霧、という題名を付けました。
アルベリヒやヴォータンになったような、気持ちでしょうか。
夜と霧の、ホロコーストの政策により、
抹殺されて行く男性同性愛者の印(しるし)が、
ラベンダー色の、逆三角形のトライアングルでした。
地中海沿岸の、乾燥地帯の花と言うよりも、
地の底のように、深く湿った夜と霧の花に、見えて来ませんか。
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