モッコク 1235

梅雨の花なのに、今年は、梅雨明けが早く、
いつもと違う風情(ふぜい)です。
 
木斛(もっこく)は、茶室の庭に、無くてはならない木ですが、
このごろは、あまり見掛けません。
 
梅雨の、控え目な花と、
爆(は)ぜた実から覗く秋の赤い種子が、見ものです。
 
石斛(せっこく)の、
俯(うつむ)いて咲く趣(おもむき)に似ているので、
木斛(もっこく)と言われるそうです。
 
石斛 Dendrobium moniliforme は、ラン科の着生植物ですが、
木斛 Ternstroemia gymnanthera は、ツバキ科の樹木です。
 
斛(こく)は、「さか」や「こく」や「ます」と、読みますが、
お酒や穀物などを測る単位の、石(こく)と、同じ意味のようです。
 
万斛(ばんこく)の涙を注(そそ)ぐ、と言うように、
量を表わします。
 
偏(へん)が角で、旁(つくり)が斗(ます)ですから、
四角い形の、現代の普通の升(ます)の意味と言われていますが、
もしかしたら、
動物の角(つの)を繰り抜いて、計量ための容器として、
用いたのかも知れません。
 
石斛(せっこく)の根が、角(つの)のように、太く見えます。
 
石に付着した石斛(せっこく)を、石斛と言い、
樹木に付着した石斛を、木斛(もっこく)と言った、
という説もあります。
 
ラン科の石斛(せっこく)は、石にも、樹木にも、着生します。
 
1石、もしくは1斛(こく)は、10斗(と)のことですけれど、
1斗は10升(しょう)で、1升は10合の、1.8リットルです。
 
石斛(せっこく)は、漢方薬になりますので、
計(はか)りの升(ます)や、量目の単位などが、
どうして、植物の名前になったのかは、
漢方薬の好きなお薬屋さんに、尋ねて下さい。
 
石斛を、少彦薬根(すくなひこなのくすね)とも、言いますが、
薬の神様の、少彦名命(すくなひこなのみこと)に、因んでいます。
 
昔は、お酒も薬でしたが、穀物からお酒を作ります。
植物から、お薬を作るのと、同じことですが、
舟型の石の箱に、乾燥した植物を入れて、
円盤状の石の車輪を転がして、植物を轢(ひ)きました。
薬研(やげん)と言います。
 
細かく挽(ひ)かれた植物を煎(せん)じて、薬としました。
お茶を出すのと、同じ要領です。
抹茶は、石臼(いしうす)で挽(ひ)きますが、昔は薬用でした。
 
少彦名命(すくなひこなのみこと)は、
お薬やお酒や穀物だけでなく、石の神様でもあります。
 
ラン科の石斛(せっこく)に似た風情(ふぜい)の樹木ですので、
木斛(もっこく)と言われます。
  
香りの良い花です。
 
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精神医療の廃止とコンピュータ

進化論や精神医学などの、 ロマン主義による社会や心の学説を否定して、 精神医療と精神科と精神病院の廃止を、 主張します。

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