【歌に生き 愛に生き】 Vissi d'arte, vissi d'amore
プッチーニのオペラ『トスカ』のアリア
Vissi d'arte, vissi d'amore,
Non feci mai male ad anima viva,...
Con man furtiva
Quante miserie conobbi, aiuta!...
Sempre con fe sincera,
La mia preghiera
Ai santi tabernacoli Sali,
Sempre con fe sincera
Diedi fiori agl altar.
Nell'ora del dolore perche,
Perche Signore perche
Me ne rimuneri cosi?
Diedi gioielli
Della Madonna al manto,
E diedi il canto agli astri,
Al ciel, che ne ridean piu belli
Nell'ora del dolore perche,
Perche, signore,
Perche me ne rimuneri cosi?
毎度お馴染みの、耳にたこのアリアで、すみません
マリア・カラスと、レナータ・テバルディと、
どちらがいいのかしら。
テバルディの歌い方は、ドラマティックですけれど、
カラスは、合唱団の中の、
声量のある女の子の歌い方なの。
たぶん、先生に褒めてもらえると思います。
流れるように奇麗で、他人の声と、よく調和します。
体重108Kgの頃は、純音に近く、
音叉(おんさ)のように、素直(すなお)な声でした。
痩(や)せると、潤(うるお)いがなくなり、
耳鼻科医のようになりました。
テバルディは、
ソロ歌手の歌い方ですので、減(め)り張りがあります。
倍音の入り方が、耳に快い声質ですけれど、
他人と、あまり協和しないかも知れません。
カラスは、リズム感に乏しく、
音のない水のように、美しく流れました。
テバルディは、
河内音頭みたいに、体のリズムに乗って来ました。
うちのお祖父さんが、あほのお医者さんでして、
オペラや浪曲のレコードを、いっぱい持っていました。
昔は結核が多かったので、
聴診器を聴く癖が、付いていたのかしら。
わたしは、それを聞かされて育ったので、
ジャズやソウルやリートやシャンソンを聞いても、
やっぱり、アリアや浪花節に、戻ってしまいます。
イタリアや大阪の響きが、頭蓋骨に向いているみたい。
おトイレに入りながらでも、思い出しますから、
くそったれです。
このアリアは、
トスカっていうオペラの中で歌われますけれど、
プッチーニの曲ですから、
脳味噌の、どこを切っても、美しいメロディーの、
耳にこびりつくオペラです。
フランス革命のあとの、ナポレオン戦争の時代なのに、
まだ、フランスとオーストリアが、
イタリアの取り合いをしていました。
イタリアって、国民を擁する国家の意識が、
なかなか出来ませんでした。
イタリア各地の土豪が、
ヨーロッパの支配階級に、成り上がれなかったの。
ローマ帝国やローマ教会のお膝元でしたから、
日本で言うと、近畿地方と同じで、
土地の所有が、複雑に細分化されていました。
歴史が積み重なり、支配者が替わるたびに、
ちょっとずつ、
新しい所有者に、土地を分割されて、削られるでしょう?
分けられた土地って、
相続されて、売り買いされますから、
広く纏まった所有関係の土地が、残っていません。
複雑に細分化されて、よその土地の、名士や貴族や、
よその国の、軍隊や教会などが、土地を所有して、
何段にも、モザイクになっているの。
貸し借りがあるからね。
よそ者が、土地を所有しても、構いません。
権利関係が入り組んでいますから、整理できません。
よその王様の土地を、没収すると、怒られるでしょう?
土地の所有者と、行政を支配する権力者は、
また別です。
権力者って、強い軍隊を持っている奴ですけれど、
行政を支配しても、
土地の所有権を奪うことは、できません。
土地の所有が、複雑に細分化されていれば、
たくさんの地主を、敵に回せませんから、
土地の所有に、手を付けられません。
強い軍隊を持つ支配者も、行政権を握っているだけなの。
江戸幕府も、
大阪や京都の、行政権を直轄していただけで、
近畿地方の土地は、細かく複雑でしたから、
古い柵(しがらみ)が重なり、
うま味がありませんでした。
豊臣秀吉の個人的な収入って、少なかったの。
他人の所有地から、公的な税金を徴収して、
公権力の収入になるところを、
個人的に横領して、個人財産を増やすしか、
儲(もう)ける方法がないでしょう?
徳川家康なんか、
地方の大名を徴用して、川を付け替えて、
東京の荒地や未開地の、新田開発をしましたから、
出来上がった田畑は、
ぜんぶ自分の個人所有になりました。
ちょっとぐらいは、大名にも、
分けてあげたかも知れませんけれど、
上手く行けば、儲(もう)かるでしょう?
近畿地方は、
昔からの、たくさんの支配者の権利関係が、
細かく積み重なっていただけでなく、
大規模な土木工事をしても、
新しい土地を、たくさん作ることができませんでした。
開発済みなので、
広大な土地を、纏(まと)めて所有する余地がなく、
窮屈でした。
イタリアも同じです。
ローマ帝国やローマ教会の歴史が、
土地の所有関係の中に、細かく入り組んでいましたから、
イタリア全土を支配しても、何のうま味もありません。
美味(おい)しいところだけを、
フランスやオーストリアが、取り合いをしましたけれど、
イタリア人は、
そんなところを支配しても、あまり儲からないって、
知っていました。
トスカって、トスカーナ州のトスカかしら。
ナポレオンとオーストリアが、
北イタリアの取り合いをしても、
地元のイタリア人は、どちらについたほうが得かって、
計算尽くの人生に、魅力を感じていました。
ナポレオンのほうの味方になった画家のカバラドッシと、
恋人のトスカの間に、
ローマの警視総監のスカルピアが、横槍を入れるの。
ナポレオンが負けた、という誤報が入り、
カバラドッシを、逮捕しましたけれど、
ほんとうは、ナポレオンが勝っていたと、わかります。
そこで、カバラドッシの命を助けて欲しければ、
自分のものになれと、トスカに迫ります。
スカルピアは、
嘘の処刑を実施して、カバラドッシを助けてやるって、
取引を持ちかけたの。
トスカは、
神さまを信じているのに、
なんで、こんな目に遭うのかって、歌います。
歌に生き、愛に生き…
スカルピアが、
嘘の処刑の手筈(てはず)を、部下に命じましたので、
トスカは、それを見届けてから、
食卓のナイフを取り、スカルピアを刺しました。
嘘の処刑が行われる手筈(てはず)になっているって、
トスカから伝えられて、
カバラドッシは、喜んで処刑されますけれど、
本物の処刑でした。
銃殺されて、倒れたカバラドッシに駆け寄り、
トスカは、早く逃げましょう、と言いますけれど、
あほでした。
スカルピアの死体が見つかり、
おおぜいの人が、トスカを捕まえに来ます。
トスカは、城壁の上から、身を投げて、
一巻の終わりです。
芸能は、
美しいという文化的な価値と、恋しいという生殖本能を、
識別しませんけれど、
横山ノックや石原慎太郎が、ギロチンを扱えば、
フランス革命になるって、
日本の法律家や政治家は、気づきません。
フランス革命や日本国憲法って、
すごくエステティックなのに、
なんで、日本人は気づかないのかしら。
アリストテレスや物理化学なんか、浪花節なのに、
なんで、科学者や医学者は、気づかないのかしら。
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