葉山 379 ロボトミー

 
ロボトミーって手術は、前頭葉の皮質の下の、白質を切断します。
白質って、神経細胞の軸索が束になっている所ですから、
前頭葉の皮質と、辺縁系や基底核などの核や、間脳などとの、
連絡が遮断されます。
 
ローブって、舌みたいな耳たぶみたいな形を言います。
トムって、一つのものを分割するときの、切る意味ね。
 
上瞼(まぶた)を上げた内側の、目頭(めがしら)の上から、
火箸(ひばし)みたいなのを、差し込みます。
目って、もともと、頭蓋骨に穴が開いていますけれど、
その少し上の、骨の薄い所から、刺すの。
金槌で叩きます。
左右に動かしてから、ぐるーっと、棒の手元を回すと、
穴の入り口を支点にして、棒の先も回って、脳味噌が切れます。
 
丸く切ると、棒をもっと深く押し込んで、おなじ事を繰り返します。
支点が同じ一点ですから、最初に切った所が、もっと深く広く切れます。
どこを、どのように切るか、死体の脳で練習した通りのことを、
手探(てさぐ)りの感触で行ないますけれど、
死体と生体とでは、感触が全然違うと思います。
 
でも、手術を受けた患者さんの一部は、
手術のせいで、近いうちに死にますから、
死体を解剖すると、所定の通りに、切ることができていたのかを、
確かめることができます。
 
ロボトミーって、術式が色々あります。
脳味噌の場所によって、異なるみたい。
今でも、てんかんの患者さんの、
帯状回や海馬や脳梁などを、切ったり、切り取ったりしていますから、
どこまでを、ロボトミーって言うのか、なんとなく曖昧です。
 
ロボトミー殺人事件の、主治医の、2人の御家族を殺した犯人って、
チングレクトミーっていう手術を受けた患者さんですけれど、
ロボトミーの一種って、記述されています。
この手術は、今でもやっています。
チングって、帯状回 Cingulate gyrus のことです。
 
ロボトミーって、脳味噌に、アイスピック状の棒を突っ込んで、
こね回したり、
初期には、頭蓋骨のおでこに、丸い穴を開けて、
抉(えぐ)り切ったりして、
精神症状を治療するために、前頭葉と、他の領域との連絡を、
大雑把に切断した手術を言うみたい。
 
すごく簡単にできるので、保健室の養護の先生が、
授業をさぼる生徒を、宥(なだ)めるみたいに、
肩肘(かたひじ)を張らずに、気軽に素早く行なえます。
たぶん、神経外科の先生よりも、養護の先生のほうが、大変です。
 
そうでなければ、現在の脳神経外科の手術と、
昔の精神外科のロボトミーとの、区別がつきません。
てんかんと精神病って、簡単に区別ができるとは、限りませんから。
昔のロボトミーって、統合失調症や、今で言う人格障害の人や、
うつ病や、頭痛や振戦のある人などに、広く行なわれていました。
 
     手術後も、興奮や衝動を抑えられない人や、
     かえって暴れる人も、結構いたそうですけれど、
     統合失調症の患者さんの、精神運動興奮が鎮まることも、
     少なくありませんでした。
 
     日本でも12万人が、ロボトミーを受けたと言われています。
     結果は、抗精神病薬による薬物療法の効き目や、
     ドーパミン説と、矛盾しているかも知れませんけれど、
     患者さんの症状を、なかなか、確定できません。
 
     手術前の症状と、手術後の症状を、比べようとしても、
     精神科のお医者さんの書く精神症状の記述が、
     限りなく、信用性ゼロなんです。
 
     だって、精神の病気って、患者さんに会って、話してみると、
     医師の記述と、全然違うのでないかって、疑いたくなります。
     
     80%ぐらいの患者さんは、たくさんの医師が見ても、
     だいたい同じ症状の記述になると、言われていますけれど、
     何人もの医師の問診に、
     いつも同じ症状を訴えたり、同じ症状を見せたりする癖が、
     患者さんに、あるのかも知れません。
     御家族も、だれに対しても、
     いつも同じことを、訴える癖があります。
 
     その癖が、精神の病気の、症状のように受け取られるから、
     やめるように努力しなさい、と言うと、
     その時から、ぴたっと、やまってしまう患者さんもいます。
 
     発達障害の症状の一つとして、
     人と話すときに、人の目を見ない、
     アイコンタクトができないと、よく書いてあります。
 
     その子に、それは精神の病気の症状のように、言われるから、
     人と話す時は、人の目や顔を見なさいって、言ってあげると、
     その時から、人の目を見て、話すようになります。
     いつでも、人の目を見て話すのが、習慣になるように、
     忘れずに練習しなさい、と言うと、短期間で直ります。
     
     あまり、人の目を睨(にら)んで話すのは、変だから、
     ときどき、視線をはぐらかしなさいって教えると、
     その通りにしてくれます。
     こんなの、ちっとも、精神の病気の症状でありません。
     その子の癖にすぎないのに…
 
     ロボトミーが盛んに実施された時代って、
     高度経済成長時代が、終わりになる頃までした。
     安田講堂事件が1969年で、
     三島っていう人の切腹が1970年、
     連合赤軍事件が、1971~1972年、
     東京大学の台(うてな)教授が追求されたのが、1972年、
     第一次オイルショックが、1973年でした。
 
     お腹に刀を突き刺して、こね回したら、腸が切れるって、
     ロボトミーに似ているかしら。
     
     宇都宮病院事件って、1983年ですので、
     世相から、10年ぐらい、遅れていましたけれど、
     昵懇(じっこん)の仲の、東京大学精神科の事件と言っても、
     過言でありませんでした。
 
     患者さんを虐待して、
     脳味噌を、事務員やケースワーカーや看護師が、
     解剖していました。
     お料理みたいなもので、精神科医は手を汚しませんでした。
 
     ロボトミー殺人事件の犯人は、精神病質でしたから、
     今で言う人格障害ですけれど、当時は措置入院になりました。
     ふつうの人と同じ性格にしか、読みとれません。
     手術の後も、どこが変化したのか、わかりません。
 
     凶悪犯罪者でも、措置入院にされて、
     騙(だま)されて、麻酔を掛けられて、
     脳味噌を切られると、患者さんは怒って、当然ですけれど、
     この人は、実の妹さんの家で喧嘩をして、家具を壊して、
     お巡りさんに保護されて、措置入院です。
     凶悪犯罪でなく、よくある喧嘩なの。
 
     そんな些細なことで、脳味噌を切られました。
     無期懲役になり、現在も服役していますが、
     つい最近も、自死権を要求していました。
 
いちばん確かなのは、御家族から日頃の生活の様子を聞き取って、
医師が、患者さんと、寝起きを共にして、
「同じ釜の飯を食う」ことかしら。
人の精神の病気を、知る方法ね。
 
これが出来なければ、精神症状に対して、外科手術を行なうような、
精神外科はやめたほうがいいし、
お薬の処方も、短期間の緊急時だけにしたほうが、いいかもね。
 
今でも、美容外科のお医者さんには、
精神外科を標榜する人が、結構います。
病気でないのに、切り貼りするのでしたら、
病気を治す技量は、必要ありません。
切り貼りだけって、自分の技術に、うっとりして、病みつきになり易く、
確かに、かつての精神外科に似ています。
 
お医者さんが悩むのは、親身(しんみ)に、患者さんを治療すると、
お医者さんのほうの、身も心も、持ちません。
でも、ぜんぜん、病気や苦しみを、治すつもりもなく、
医療ミスと言われないように、
所定の決められた治療を、機械的に行なうのでしたら、
人間として、恥ずかしい気持ちになります。
 
美容外科って、切り貼りの技術だけですから、
最初から医師は、恥も外聞もなく、すっぽんぽんです。
 
人の体を、切ったり縫ったりって、
昔のヨーロッパでは、理髪師のお仕事でしたけれど、
精神の病気を、外科手術によって治すのも、
病気を特定できませんので、
美容外科と同じになってしまうのかも知れません。
 
病みつきの技術に、うっとりしたいために、
犬や猫の手術に、熱心な外科医もいます。
子供の頃から、バッタの中枢神経を抜き出したり、
蜥蜴(とかげ)の尻尾や心臓が、自動的に動いているのを、
観察するのが好きだったそうです。
生(なま)ものが動き出すって、機械よりも桁違いに、感動するからね。
 
GID(性同一性障害)のSRS(性転換手術)と、同じ手術台で、
動物の手術を行なっています。
それでも、SRSのような、遊び半分の手術は、スリルがないので、
脳味噌の手術をしたいと言います。
けっして、精神病患者や、脳腫瘍の患者のような、病気の手術でなく、
よく知っている健常な人間の、立派な脳味噌を切ると、
どのように、精神が変化するかを、やってみたいそうです。
 
精神科の問診って、患者さんの症状が、伝わりません。
だって、患者さんは、自分の精神の異常を、ほとんど自覚できないもの。
親御さんに連れて来られた子供や、強制的に治療を受ける患者さんでは、
御本人は、健常と思っていますから、
自分の症状を、言えるはずがありません。
お医者さんに訴えるのは、言い訳をするにも、ちょうどいいぐらいの、
説明しやすいエピソードだけなの。
 
これまで生きてきた人生の、苦しみや悲しみなんか、
簡単には、人に伝えられません。
心の性別って、言っておけば、
マスコミにも伝えられるぐらいに、手頃でしょう?
診察室のお医者さんに、訴える症状って、その程度のものなの。
 
御本人は性転換をしたいのですから、
精神症状を言いなさいって強要されても、
どこかで聞いたふうな、当たり障(さわ)りのない、
ステレオタイプの症状しか、言えません。
 
     日常生活の、身の回りのことや、整理整頓や、
     睡眠やおトイレや入浴や、食事やお料理や、洗顔や歯磨きや、
     お布団を敷いたり上げたり、お掃除やお洗濯や、
     衣服の着脱や、お買い物や、家や家具や持ち物の修理や、
     お仕事ができるかなどが、大切です。
 
     そうすると、お仕事についても、
     どのように具体的な作業や手順なのかを、教えてもらい、
     どれぐらいに、お仕事が出来るのか、出来ないのか、
     人と比べてどうなのかを、検分する必要があります。
 
     そういう日常の能力に現れる症状って、簡単に言うと、
     脳の器質や、体に異常のある病気や、知的障害でなければ、
     いわゆる精神病の現れるところなの。
 
     人間関係の調節や、人が納得する意見を持つことや、
     それを発表することや、法律や道徳規範を守るような、
     すごく高等なことにのみ、症状が現れるのは、
     いわゆる精神病以外の、ただの精神障害かもね。
 
     中間が、ものすごく、たくさんですから、厄介なの。
     全員が中間です。
     能力の高い人から、低い人まで、序列があって、
     うんと能力の低い人を、重症の発達障害と言い、
     うんと能力の高い人を、健常と言っているだけです。
     全員が中間と言っても、構いません。
 
     日常の身の回りの能力が足りないのに、
     できないのでなく、しないって、
     意地を張る人が、たくさんいます。
     できない人のうちの、軽症の人は、ほとんどが、そうです。
 
     検査をしようとしても、協力的でなかったり、
     検査そのものを馬鹿にして、拒否したりね。
     できないのでなく、自由な生き方や個性であると、
     本人は主張します。
     ヒステリーも、その現れの一つなの。
 
     発達障害って、
     そこまでしか能力が発達しなかった症状ですけれど、
     手当を受けずに、放置されると、
     思春期に、今まで発達していた能力の、
     退行する症状が出てきます。
 
     軽症の発達障害の子ほど、
     見逃されて、放置されていますから、
     思春期以後に、精神の病気に、転換されやすいかもね。
     重症ですと、精神病と言われて、
     軽症ですと、精神障害と言われるだけかも知れませんけれど、
     思春期よりも前の、発達障害の能力には、
     一致しないと思います。
     

精神医療の廃止とコンピュータ

進化論や精神医学などの、 ロマン主義による社会や心の学説を否定して、 精神医療と精神科と精神病院の廃止を、 主張します。

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